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現代版おとぎ話

第3章 かぐや姫〜メンズは全部私のもの


「ねぇ、聞いてないんだけど?」
大学の前半も最終日を迎えた時だった。サークル終わりに柚莉愛が不満げに私に言った。
腕を組み突っ立ているところからすると相当お怒りのようだ。
「別に良くない?ただの幼馴染でしょ?友達でもないしさ。いちいち報告するかなーて。あっ、いやそのこれはえっと。」
しまった!思ってることをつい言ってしまった。私がそう思ってあたふたしていると柚莉愛がニヤけて言った。
「知ってるんだからね。でもあんたと悠介先輩ってうまくいかないと思うけどなぁ。」
「勝手に決めつけないでよ!?柚莉愛はそうやっていつもさぁー。」
私がムキになって言うと柚莉愛はケラケラと笑っていた。
「あーはいはい。あんたもバカだよねぇ。私なんかと幼馴染でいてくれてさ。」
「あのねぇ、好きで幼馴染みになってわけじゃないんだよ!?」
「幼馴染みっていい響きだよね。利用させてもらおうっと。それじゃあね!」
柚莉愛は満面の笑みを浮かべて去って行った。

柚莉愛がいなくなった後、夏なのになんだか寒気がした。
胸騒ぎがする。なんだろうこれ?
あの子は人のものを奪う常習犯だ。平気で人のものを盗んでいく。

物や彼氏、そして思い出までも全部。今まで散々やってきたのにまだ懲りてないんだろうか?

ううん。柚莉愛のことは考えないで夏休みを思いっきり楽しく過ごそうと意気込んで私も大学を後にした。

それから夏休みになり、久々の長期休みとだけあってスケジュールを立てることにした。後半は実家に帰るので前半は悠介先輩と楽しもうと思った。

そんな矢先、映画同好会のグループLINEからメッセージが届いていた。伶菜先輩より、高杉稜駿先輩が最近そっけないことや、デートで待ち合わせても来なかったり遅れたりしてるらしい。この間は映画を見ようとチケットを取ったのに行けなくなったとキャンセルに。たまにならいいけど立て続けにこんなことが続いていておかしいとのことだった。

これはもしや、柚莉愛が絡んでいるのでは?と、私は思ったけど柚莉愛を問い詰めても知らん顔するかもしれない。それなら、高杉先輩のことを探りを入れた方が良さそうだ。私も後輩の立場を使って高杉先輩に探りを入れようと企むことにした。
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