第1章 プロローグ
『ゴールデンウィークは立海と合同合宿をすることになった。いつも通り来い。』
電話の向こうからは綺麗な声。
………久々に電話をかけてきたと思ったら出て早々この一言ですよ。
お坊っちゃまは教育がなってませんね。せめて『空いてるか?』の一言は欲しかった…なんて小言はこの男には通用しない。
『聞いてんのか、村上。』
「聞いてはいるんですけど相変わらずの跡部さんの態度にフリーズしてしまいました。」
『どういう意味だ、アーン?』
「いえ、お気になさらず。続けて下さい。」
電話の相手、跡部景吾相手に礼儀を教えるなんてことは無駄以外の何者でも無い。
この無礼こそ、跡部景吾の象徴なのだから。
逆に跡部さんから丁寧に願い事なんてされた日には怖くて前日は一睡も出来ないに違いない。
『……ふん、まぁいい。さっきも言った通り立海と合同合宿をすることになっ…』
「立海ぃ!!!!?」
『うるせぇ!!黙って最後まで聞きやがれ!!!』
いやいやいや、無理よ。跡部さん!立海テニス部なんてイケメンの宝庫なのよ!!!!!
普段はファンクラブが仕切ってて近付くことも許されないんだから!!
立海生の私ですらレギュラー陣とは誰とも話したことないのよ!!
『期間は明日からの4日間。場所は去年も使った俺の別荘。参加校は氷帝と立海だけだ。お前にはその4日間マネージャー業をやってもらう。あとマネージャーは雪乃にも声をかけてる。』
私の心情などお構い無しに跡部さんはつらつらと続ける。
『集合は明日の8時に氷帝だ。遅れんなよ。』
「ああああああ跡部さん!!!」
切られそうになったから慌てて声を上げる。
『いちいちうるせぇ。何だよ』
「私を……私を是非とも立海専属マネージャーに指名してください!!!」
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ヒロインちゃんが話してる跡部様も十二分にイケメン。