第3章 12歳年下の彼
『巴さん?
…どうかしましたか?』
「え…いえ…その…、私…
ラブホテル…に、
その、あんまり…行った事が無くて…」
『そうなんですか?じゃあ、
週末は…僕に任せて下さい。
巴さんに、
喜んで貰える様な、所。
週末までに、探しておきますから!』
港斗さん…は…、雄介さんとは…
全然違うなって、
そんな風に思ってしまって。
自分が…、長く彼と付き合う内に。
彼に空気か何かみたいにして。
蔑ろな扱いをされていたんだなって…。
港斗さんの彼女をしていると…、
こんな感じの…
ちょっとした事で気付かされてしまう。
今の仕事が落ち着いたら…結婚しようって。
そう言って、
プレゼントしてくれた指輪だとか。
海外旅行にいつか行こうよって、
買ってくれた大きいサイズの
キャリーバックで…
良い様に…誤魔化されて。
最後の方…なんて…、
自分の方が3歳年上なのに。
巴も…
すっかりおばさんだよなぁとか…。
いや…まぁ…、36だから。
おばさんなのは…そうなんだけど…。
そんな風にこっちの事を、小馬鹿にして
お前みたいなの抱いてやるのは
俺位なんだから…感謝しろと…か…。
そんな感じの事を…、
偶に…思い出して気が向いた時にだけ。
戯れか…何かの様にして、
こっちの事を抱いて置いて、
煙草をベッドの上で吸いながら
言って居た気がする。
『巴さん?…聞こえてますか?
ねぇ、巴さん…って、
大丈夫です?さっきから、
何回も呼んでるんですけど?』
その声に…現実に引き戻されて。
ハッとすると。
すぐ目の前に…整った港斗の顔があって。
慌てて、巴が距離を取る。