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12歳年下の彼に溺愛される話

第2章 割の悪いアルバイト



『フラグクラッシャー』

そうボソッと…港斗が小さな声で
後ろで呟いていたのだが。
髪の毛を乱す程の、
潮風にかき消されていた。

「あの…、港斗さん
今、…何か言いましたか?」

『いいえ、何も言ってませんよ…。
ちょっと…今度は
船の内部でも見て回りますか』

流石に17時にご飯を食べようとは、
まだ時間的に早すぎるし。
一緒にクルーズ船の内部を見て回る。

船の中にはレストランが4つ。

1つはバイキングのレストラン。
1つは中華料理のレストラン。
もう1つは、鉄板焼きのレストランに。
最後は、フレンチのレストラン。

大きなエントランスホールには
寛げる様にソファが置かれていて。
ソファの前にある、窓から
海の景色を楽しんでいる乗客や。

船内になる売店でお土産を見ている
乗客の姿もあった。

オリジナルグッツも販売されていて。

私はこのクルーズ船の
ポストカードセットを
今日の記念に巴は購入した。

エントランスホールの壁に何か
プレートの様な物が掲げられて居て。

『ああ、これは…この船で
結婚式を挙げた人達の名前みたいですね』

「ここで結婚式をすると、船の中に
こんな風に、名前が残るんですね…」

『だったら、結婚記念日に
夫婦で食事にここに来て
このプレートを眺めながら
結婚式の思い出も、話せますもんね…』

そうプレートに刻まれた名前を
港斗が自分の手でなぞりながら。
そんな夫婦の姿を想像している様で。

巴は巴で…、
あの雄介さんだったら
そんな事をしようなんて…
言ってくれたりしないだろうなって
そんな事を…雄介を
思い出しながら考えていた。

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