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12歳年下の彼に溺愛される話

第2章 割の悪いアルバイト



スマートフォンを返して貰って。

美術館の入口を目指す、
チケットを購入して中に入ると。
ガラス張りの、自然光が至る所から
差し込む美術館の内部の展示物を楽しんで。

その間も…ドキドキとして、
目の前の絵画や陶芸…や彫刻に
巴が集中出来なかった理由は…。

生田の…距離感が…、
あの円形テラスで2ショットを
撮って貰ってから近くて。
恋人同士の距離にずっと居たからで。

美術館を後にして、
ここの観覧料金を支払うと
車に戻ってから、
巴が生田に申し出たのだが。

好きかも知らないのに
美術館に付き合わせてしまったし、
大人一人500円で大した事ないのでと。
支払うのを彼に断られてしまった。

だったら、お昼は…絶対に
こっちに出させて下さいと言うと。
車のハンドルを握って居た生田さんに
何故だか笑われてしまって居て。

美術館を出る頃には丁度、
ランチの時間帯になって居たので。

『そろそろ、お昼にしましょうか』

車は美術館のある場所から、
夕方にクルージングをする場所との
丁度中間の地点にある。
県内でも屈指の大きな繁華街の
駅の近くのコインパーキングに車を停めて。

「あの…生田さん…
これっ…、今日のお礼です」

車から降りるタイミングで、
今日のデート代として
キチンと封筒に入れて用意していた
3万円を生田に巴が差し出すと。

『じゃあ…、遠慮なく…
頂いちゃいますけど…。
巴さん、僕が…
これを受け取った瞬間から。
僕は…巴さんに、
買われている事になるので。
僕の事は、生田さんじゃなくて、
港斗さんか、港斗君か、
それか、港斗でお願いしますね?』

そう…お互いに…封筒を
両端から握り合ったままで。
生田にそう言われてしまって。

え?じゃあ…私が…この手を離したら。
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