第1章 好きと言わせたい
「はぁ…期待の新人なのに…
監督も笠松先輩も…
あんなガミガミ怒らなくても…」
「涼太…
別に私のこと庇わなくてよかったのに…」
「いや…でも…
俺が無理に海まで連れて行ったのは事実だし…
今日の部活初めと終わりに…
外周30周増えただけっスから大丈夫っスよ。」
「……でも…」
朝練終了後、っちと一緒に教室まで向かって歩いて行く。
結局、監督や笠松先輩に小1時間くらい説教され…特に笠松先輩に2回くらい蹴りを入れられ…背中を擦るとズキズキ痛む。
「じゃあ…っち…
俺が今日練習全部やり切ったら…
ご褒美くれないっスか?」
「ご褒美…?
アイスとか…?」
「……紫原っちじゃないっスから…
それじゃあ…やる気出ないっスよ。」
「じゃあ何が欲しいの…?」
っちは俺だけが怒られた事を気にしている様子で、ふと良い考えを思いつく。
ご褒美って名目で話を切り替えれば…っちもこれ以上責任感じないだろうし、俺もいい思いできる…
何よりっちと距離を縮めるチャンス…
教室に入る前に立ち止まると、俺に合わせてっちも立ち止まる。
「明日、俺と1日デートしてくれないっスか?」