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こちら、MOB飼育係ver.ハロウィン[dzl]

第3章 「私」目線のお話


 世間は手乗りMOBを飼うことがステータスみたいになっていて、会社に行っても、友達と食事に出ても、決まって話題に出るのは「うちの子は〜……」から始まる自分のペットMOBの話ばかりだった。
 MOBが嫌いな訳ではなかった。なんなら私は馬を飼育している牧場生まれだし、近くに遊びに来る猫なんかを勝手に餌付けして怒られたことがあるくらいにはMOBが大好きだ。
 だがある日、物心ついた頃から一緒にいたペットのオオカミが寿命で亡くなり、悲しくてしばらく学校にも行けなかった私は、もう一生MOBなんか飼うか、なんて下らない決意の元、こうして成人して日々を送っていたのである。
 しかし、度重なる手乗りMOBの話題で、決まって聞かれるのは「なんで飼わないの?」という質問。答えるのも面倒になって、嫌いだの面倒だの言っている内に、MOB販売店からすらも遠のく生活を送るようになっていた。
 そんなある日、突然の雨で駆け込んだ店があまりよく知らないMOB販売店で、何も見ずに帰るのも失礼だろうと様々なMOBや手乗りMOBを眺めている内に、あの五人たちと目が合ったのである。
 目が合ったというのは私の錯覚かもしれない。彼らの飼育カゴの上には黄色い紙に赤い文字で「売れ残り半額販売中!」と書かれてあったから、それと目が合ったのかもしれない。
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