第2章 彼らはハロウィンMOBであった──
「ぼんさん、ハロウィン終わっちゃってもう一ヶ月も経ちましたよ」
と呟くのはドズルバンパイア。残りもの売り場の飼育カゴの中には、五人の手乗りMOBがまとめられて一つに入れられていた。
「俺たちこのまま、廃棄処分になったりしてな」
はははっと笑うぼんと呼ばれたミイラ手乗りMOBは、そう言って体に包帯をぐるぐると巻き付けた。
そんな二人の会話を間近で聞いていた魔女の帽子を被った手乗り雪だるまが少し青ざめた様子で割り込んだ。
「やめて下さいよ、ぼんさん。そんなこと言ったら本当に捨てられちゃいますよ」
その言葉にぼんはごめんごめんとすぐに謝るが、手乗りMOBにしては少し大きな体をしたフランケンシュタインが冷静なツッコミをする。
「おらふくんをイジメちゃだめですよ、ぼんさん」
「いやいやいや、イジメてないって!」
ぼんが慌てて弁解をしようとしている様に何を思ったのか、普通の手乗りMOBより少し小さなオオカミが足元でワンッと吠えた。
「MENワンちゃんは可愛ええなぁ……ずっと夜が来なければいいのに」
魔女雪だるま、おらふくんがそう言って姿勢を低くすると、MENオオカミ男はまたワンワンッと吠えた。だが、ここにいるMOBたちはオオカミ語が分からないので、通訳者が一人もいなかった。