【R18】禪院直哉→私←五条悟❇︎傷だらけの婚約者❇︎
第19章 私の直哉くん※
「だからさ……その格好悪いの今日でお終いにしよね。」
手の甲に付いた自分の血をペロッと舐めて、ななは言った。
そんな表情をするななを見たことがなくて、直哉は一瞬だけその醜い顔に、昔のななを重ねた。
「底辺の私に会わなくてもいい様に、頑張ってテッペン目指さないと何度でも会っちゃうよ。」
そう言って、手に残った血は払って畳の上に跳ねた。
その時初めて、直哉は自分がななの顔を傷つけたりと気が付いた。
そんな直哉を一瞥して、ななは部屋を出て行く。
見たいものは見れたから。
もう後はどうでも良かった。
「今日は何用だ?五条家の坊が。」
グビッと酒を樽ごと飲んで、機嫌が良さそうに直毘人は悟に聞いた。
「今日はただの付き添いです。」
ニコニコ楽しそうに言う悟に、直毘人はハッと笑った。
「甚爾殺して、頂を手に入れたと言うのに、まだ青臭いんだな。」
「……お宅の、直哉くんほどじゃないですけどね…。」