第8章 哀しい雨
あの後高専に戻ってきたが悠仁くんの事を思い出してしまって寝れそうにない。
誰かと一緒に居たいと思い、誰がいいか考える。
真希さんは任務でいない。
野薔薇ちゃんは怪我してたから様子見で1日入院するらしい。
ほかの先輩達と五条先生も任務。
よって行き着く先は…
―伏黒恵side―
コンコン
ノックするとゆっくりドアが開く。
伏黒「夏梨。どうした?」
「恵くん。こんな時間にごめんね。なんだか1人じゃ寝れそうになくて…真希さんとかも回ってみたんだけど、任務で恵くんしかいなくて…」
伏黒「…じゃぁ、俺の部屋で寝るか?」
少し考えた後に口を開く。
「いいの?!ありがとう」
花がほころぶような笑顔を向けられ、ドキッとする。
年頃の男女二人が同じ部屋で寝るのはいかがなものかと思う。ましては好きな娘が自分の部屋にと考えるだけで、理性を保てるか不安だった。
が、上目遣いで、寂しげに揺れる瞳を前に断れるはずもなかった。きっと虎杖の事もあって寝付けないんだろう。
その後、どちらが床で寝るかで軽く揉めたが、結果2人でベットを使うことになってしまった。
俺のバカ…そこは何としてでも断りきれよ。
すぐ近くに夏梨の体温を感じる。ドキドキしてどうにかなりそうだった。
更に追い討ち。
「恵くん、もう少しくっ付いてもいい?」
は??これ以上どう耐えろと??
伏黒「別に構わない。」
そう言いながら腕の中に収める。拷問的だが、至福の時間でもあった。
しばらくすると安心したかのようにスヤスヤと寝息が聞こえてきた。
全く無防備なものだ。
伏黒も理性を保ちつつゆっくりと眠ることに集中し、2人して心地よい温もりを感じながら、夢の中に落ちていくのだった。
今だけは、全て忘れて。