第8章 哀しい雨
雨…
雨が降っている…
ゆっくりと目を開く。
っ!
一気に覚醒していく思考。
何分?何分気を失ってたの?宿儺は?恵くんは?悠仁くんは???
たくさんの疑問が頭を埋めつくしていく。無理やり冷静になり、とりあえず恵くんの気配を探る。
練習ではまだ不安定で、10回試して1回成功するかどうかの術。
目を閉じて…落ち着いて…
床に指先を着く。
自分は世界の1部。雨の音、葉の擦れる音、遠くの車の音、繁華街の話し声、遠くの音まで聞こえる。
うん。良い感じ、
ゆっくり呪力を巡らしていく。
―チリン―
鈴の音がなる。
っ!今だ!
「世の極深探呪法…発芽!」
目を開く。紅い瞳に緑の光が混じる。
緑色のツタのような呪力の流れが風と共に流れていく。恵くんと宿儺の元へ道標のように。
これは夏梨の想像力から生まれた技。
地球と一体になるイメージで探している物や人の位置(呪力が流れている物限定)を見つけることが出来る。
やっ、やった!上手くできった!
早く恵くんに加勢しないと!