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呪術廻戦〜清澄と呪〜

第8章 哀しい雨


〜伏黒恵side〜

伏黒「虎杖は戻ってくる。

その結果自分が死んでもな

そういう奴だ」

宿儺「買い被りすぎだな、コイツは他の人間より多少頑丈で鈍いだけだ。

先刻もな、今際の際で怯えに怯え、ゴチャゴチャと御託を並べていたぞ。

断言する。奴に自死する度胸はない。」

宿儺と対面で喋っている間にも自分に何ができるのか考え続けていた。

宿儺は恐く夏梨に傷を付けるような事はしないだろう。

問題は俺だ。俺にアイツを倒せる自身は…無い。

思考を巡らせながら宿儺を観察する。

腕が治ってる。治癒…恐く反転術式が使えるんだ。
宿儺は受肉している心臓無しで生きれるとはいえ、ダメージはあるはずだ。

なら今俺がやる事は…

(虎杖が戻る前に心臓を治させる。)

心臓を抜いた体では俺に勝てないと思わせるんだ。

出来るか?特級の前でも動けなかった俺が…

出来るかじゃねぇ!

やるんだっ!

覚悟を決めて鵺を呼び出す。

宿儺「折角外に出たんだ。広く使おう!」




宿儺との殴り合いを始めるが力の差は圧倒的だった。

何発か攻撃は入ったが、結局投げ飛ばされビルに突っ込んで傷だらけだ。

呪術うんぬんじゃなく。パワーもアジリティも格が違う。

鵺も限界だ。壊される前に解いた方がいいな…。

生得領域を抜けるのに式神を一通り使っちまった。
おまけに、玉犬(白)と大蛇は破壊されている。

―もう呪力が―

ドォン!

宿儺が目の前に降りてくる。
宿儺「お前の式神、影を媒体にしているのか。」

バレた所で問題は無い。

伏黒「ならなんだ」

宿儺は顎に手を当てて考えている。

宿儺「フム、分からんな、お前あの時…」

―「なぜ逃げた?」―

???

言われた事の意味がわからない。

宿儺「宝の持ち腐れだな。まぁいい、どの道その程度ではココは治さんぞ」

心臓をくり抜いた部分を指さしながら見下ろしてくる。心底腹が立つ。

心臓を治させようとしていたのもバレバレか…

宿儺「つまらん事に命を懸けたな。この小僧にそれ程の価値はないと言うのに。」

―じゃぁ、なんで俺を助けたんだよっ!―

虎杖の言葉。

(不平等な現実のみが平等に与えられている)

―誰かを呪う暇があったら、大切な人のことを考えていたいの―

姉の言葉。
疑う余地のない善人だった。
誰よりも幸せになるべき人だった。
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