第7章 犠牲
ッッ!
少し開けた場所に出たがそこには何とも残酷な景色が拡がっていた。
丸められボールのようにされ、恐らく人であっただろう肉塊が2つ。
唯一原型をとどめている死体も下半身が無くなっていた。
(ッ!吐きそう…)
あまりの光景に夏梨は気持ち悪さを感じ口に手を当てる。
釘崎「惨い…」
伏黒「3人で…いいんだよな。」
すると原型をとどめている死体に悠仁くんが近づく。
名札を確認するとそこには
”岡崎 正”
とあった。
悠仁くんは俯いたままで表情がよく見えない。
虎杖「この遺体持って帰る。」
夏梨、釘崎「え…」
虎杖「あの人の子供だ、顔はそんなにやられてない。」
釘崎「でもっ!」
虎杖「遺体も無しに、はい死にました。じゃ納得できねぇーだろ」
そう言っている悠仁くんのフードを伏黒くんがおもむろに掴んだ。
伏黒「あと2人の生存を確認しなきゃならん。その遺体は置いていけ」
虎杖「振り返れば元きた道がなくなっている。後で戻る余裕はねぇーだろ」
伏黒「後でじゃねぇ!置いてけって言ってんだ!
ただでさえ助ける気のない人間を死体になってまで救う気は俺には無い!」
がっ!
っと怒ったような表情で虎杖くんも恵くんの胸ぐらを掴み返す
虎杖「どういう意味だ。」
伏黒「ここは少年院だぞ。呪術師には現場のあらゆる情報が開示される。そいつは2度目の無免許運転で下校中の児女を跳ねている。
”2度目”の無免許運転でだ。」
虎杖(っ!)
伏黒が最初や途中口を継ぐんでいたのはこれが原因だった。
伏黒「お前は大勢の人間を助け、正しい死に導くことに拘ってるな、でもお前が助けた人間が将来人を殺したらどうする!」
虎杖「じゃぁなんで!俺を助けたんだよ!」
そんな状況にイライラする野薔薇ちゃんの横であたふたする。
釘崎「いい加減にしろっ!時と場所をわきまえ――」
言い切る前に足元に出来たブラックホールのような穴に落ちていく野薔薇ちゃん。
「っ!野薔薇ちゃん!」
とっさに手を伸ばしたが間に合わずそのまま下にずぶりと飲み込まれてしまった。
すぐに元の床に戻る。
伏黒、虎杖「釘…崎…?」
伏黒(馬鹿なっ!だって玉犬が!)
玉犬がいたはずの方を振り返ると首だけになって壁にめり込んでいる玉犬がいた。