第7章 犠牲
そんな…
と涙する女性を見て、夏梨は胸が締め付けられた。
それは悠仁くんも同じだったようで、
虎杖「伏黒、釘崎、夏梨、助けるぞ」
野薔薇「当然!」
「当たり前!」
伏黒「…」
と意気込む2人とは反対で伏黒は何も答えなかった。
4人が施設に入って行くのを見た伊地知さんが帳を下ろしてくれる。
伊地知「帳を下ろします。お気をつけて…
闇より出てて闇より黒く
その穢れを禊ぎ祓え」
徐々に空が黒く染まっていく。
虎杖「夜になってく!」
伏黒「帳。今回は住宅地が近いからな、外から俺たちを隠す結界だ。」
野薔薇「無知め…」
伏黒「”玉犬”」
伏黒が手を組み、犬の影絵から白い犬が現れた。
伏黒「呪いが近づいたらこいつが教えてくれる。行くぞ!」
ドアを開けて中に入る。
中には二階建ての施設とは思えない光景が広がっていた。デタラメに配管が沢山走り、壁も歪んでいたりとなんとも不気味な空間だ。
虎杖「?!どうなってんだ?!ここ二階建ての寮の中だよな?!」
野薔薇「おおお、落ち着け!メゾネットよ!」
伏黒、(違ぇよ…)
(違うと思う…)
伏黒(呪力による生得領域の展開!!こんなに大きいのは初めて見た…!)
ハッ!
伏黒「扉は?!」
伏黒の言葉に他3人も自分たちが入ってきた扉の方向を見る。
すると沢山の配管が伸びているだけで、さっきまでそこにあった扉がなくなっていた。
これには夏梨も虎杖も釘崎もパニックになる。
夏梨、虎杖「ドアが無くなってる!」
釘崎「なんで?!今ここから入ってきたわよね?!」
「「「どうしよう!あ、それどうしよう!」」」
と3人で示し合わせていないのに盆踊りのようなダンスをし始める。
伏黒(あいつら息ピッタリだな…夏梨まで混じってる。相当混乱してるな…)
伏黒「大丈夫だ、こいつが出口の匂いを覚えてる。」
と玉犬を指しながら言う。
夏梨は安心したのか踊るのを辞めた。
野薔薇ちゃんと悠仁くんはあらまぁ!♡と言った後に、
虎杖「わしゃわしゃわしゃわしゃ」
釘崎「ジャーキーよ!ありったけのジャーキーを持ってきてッ!」
と玉犬を撫でくりまわしている。
そんな2人に緊張感!っと伏黒は突っ込んだ。
虎杖「やっぱり頼りになるな!伏黒!お前のおかげで人が助かるし、俺も助けられる。」
伏黒「……