第4章 八雲のトリガー
他の生徒が戯れている間、八雲は身体に見合わない大鎌を振るいひたすら呪霊を狩り続けていた。
瞬く間に京都校にポイントが加算されていく。
「この子はまた腕を上げたね。」
八雲が次々と呪霊を祓っていくのを見ていた冥冥は言った。
「八雲は成長が早いですよ。術式使えないのにここまで強いのなかなかいませんよ。」
少し表情を明るくして歌姫が言ったが、そこに五条が割って入った。
「ぜーんぜん成長してないとこもあるけどねー。すーぐ呪具ぶっ壊すし。」
歌姫は顔を顰め、五条をギロリと睨んだ。
「なんであんたがそんなこと知ってんのよ!だいたい私だってそれくらい…」
「だぁって八雲全然高専行かないでしょ。嫌われてんじゃない?」
「あんたねぇ!」
自分が原因で歌姫がキレかけているとは露知らず。八雲は、異様な気配を感じ取っていた。
「なんか変なの来たなぁ。」
八雲は感覚を研ぎ澄ませると木に座り足を組んだ。
(高専内って呪霊入れるっけ?ていうか、あまりに強すぎると思うんだけどな…。もうちょっと観察してから行こうかな。)
八雲は、大鎌をしまうと身を隠し目を瞑り呪力を広げた。
(人間もいるし…。侵入してる呪霊も強すぎるよ。なんか、新しい帳下りてね。)
「はっ…。この気配…!」
八雲は急いで立ち上がり、大鎌を取り出し呪霊の元へ走り出した。
八雲が呪霊の気配に向かっている頃、特級呪霊は東堂、虎杖と戦闘を開始していた。
水飛沫をあげ、虎杖と呪霊がぶつかり合った。虎杖と東堂の息が合い始めた時、呪霊の術式で造り上げられていた植物が消えた。
2人は空から落ち、もう一度呪霊と向き合い戦闘態勢になった時、何かが空から降ってくると呪霊に向かって一直線に激突した。
激しく舞った土埃が収まった時、2人の前にいたのは大鎌を担ぎ、朝のおちゃらけた雰囲気とは明らかに違う八雲だった。
「おい。呪霊。かんちゃんに何しやがった。」
首を傾け、ギロりと呪霊を睨む。
「心当たりがありませんね。誰です…っ!」
呪霊の言葉を聞き終わる前に八雲は斬りかかった。
「頭ん中に話し掛けんなよ。黙れ」
八雲は避けられようが、間髪入れずに斬撃を入れ続ける。体を捻り開いた脇腹に蹴りを入れた。