• テキストサイズ

OVERFLOW with LOVE 【文スト】

第6章 恋の行先




布団を捲り重たい体を起こすと、彼女が居るのであろう場所へ向かった。

台所に立つ愛おしい後ろ姿を見つけるなり、彼女を後ろから抱きしめると、彼女はビクンッと体を震わした。
髪を後ろで1つに纏めている、むき出しとなった首筋に1つ口付けを落とした。


「……勝手に居なくならないでくれ給えよ、寂しいじゃあないか」

「おはよう、太宰さん。よく眠っていたから起こすの勿体無くて。」

「此の私に気付かれず抜け出すなんて、君の先祖は〝くノ一〟か何かなのかい?」

「フフッ、ご飯が出来たら起こそうと思ってたの。」

「匂いと云い、音と云い、とても心地の良い目覚めだ。初めての経験だよ、ありがとう。目が覚めて君が居るって云うのも、とても幸せだったけれど。」

「私もよく眠れた気がするの、太宰さんが居たからかな?」

「君は朝から可愛い事を云うねェ。昨夜もとても可愛かったけれど。……体は平気かい?」


彼女は私の言葉に動きが止まり、耳まで赤くしてコクンと頷いた。


「君と知り合ってからは長いのに、どんどん君の新しい顔を見れている気がして、とても嬉しいよ」

「其れは私もそう。だけど、太宰さんがこんなに甘ったるい人だとは想像してなかったなぁ」

「君に対して甘いと昔からよく織田作と安吾に言われていたけれど、恋人として君に触れられる様になったから、余計に甘くなったように感じるのかもしれないね。」



何せ、君に愛を告げる事や触れる事を我慢しなくて良いのだから。

体を屈めて、私よりも随分と低い位置にある肩に顔を埋めた。



「……ハァ…君と居ると、日々の疲れが浄化されていく気がするよ」

「そ…そんな大袈裟な。太宰さん、もうご飯出来るから、座って待ってて?」

「此のまま、くっついていちゃあ…」

「駄目、それはちょっと邪魔かな」


彼女はそう云いながら、私の頭をワサワサと撫でる。
彼女に構って貰えたみたいで嬉しくて、まるで私は犬のようだ。


彼女が用意してくれた朝食を頂いて、
ほんわかとした休みの日を一緒に過ごして、
此の様な穏やかな日々が何時迄も続けばいいのにと、柄にも無くそう思った。




/ 84ページ  
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:なごんだエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白い
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp