• テキストサイズ

【呪術廻戦】あなたに殺された私は呪術師として生まれ変わる

第15章 一陽来復を願う(外伝・伏黒恵視点)







しばらく歩いていると、草木生い茂るこの山中で、四角い石碑のような物が倒れているのが目に入った。
人が立ち入らなそうなこんな山奥に、明らかに人工的に作られた物であるそれがやけに目について違和感を感じる。

「恵くん、何かあった?」

俺の様子に気づいて声をかけてくれたさんに「あそこに石碑みたいなのが倒れてて…」と指差して伝えた。

「…念の為、何なのか確認しようか」

それを見たさんも俺と同じように感じたようで、俺を連れ立って確認しに行った。

地面に倒れているそれはやはり石碑で、劣化の状態からするとかなり古い物のように見える。
文字が刻まれているが、ひび割れて崩れていて、なんとか読めたのは最後の二文字だけだった。

「“首”…“塚”…?」

読み上げてみても俺には意味が分からなかったが、石碑を見つめるさんは眉を顰めていた。

「…首塚っていうのはね、昔、戦で討ち取られた武士や処刑された罪人の首を埋めて供養した場所のことをいうの。もしこの首塚に相当数の首が弔われてきたとしたら…蓄積された怨念に、今では自殺の名所となってしまったのも相まって、上級呪霊になるほどの呪いと化すこともあり得なくはない」

「でも…」とさんは更に表情を曇らせた。

「定期巡回の理由にも、補助監督の調査報告にも、この山に首塚があるなんて情報なかったのに。まさか…把握されてない?」

さんがそう言った次の瞬間だった。
俺達の背後に突然、悍ましく膨大な呪力が現れた。
俺はそれを認識したと同時に全身に恐怖が駆け巡って金縛りのように動けなくなる。
けれど、隣にいたさんに横から勢いよく抱きかかえられた。

さんの肩越しに見えたその呪霊は首のない武者の姿をしていた。
振りかざした刀がさんに向けて振り下ろされる。




/ 64ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp