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【呪術廻戦】あなたに殺された私は呪術師として生まれ変わる

第7章 ⑦




一体何が傑を追い詰めたのか、術師になってその理由が分かった気がした。
非術師を守る一方で術師が犠牲となっていく不条理なこの世界で、優しい傑がどれだけ心を痛めて葛藤してきたことか。
なんで傑ひとりにこんな重荷を背負わせてしまったのだろうと後悔した。



「非術師を殺して術師だけの世界を作る。夏油のその思想は今も変わっていなかった」

五条さんから告げられたその事実にもう後戻りはできないことを知った。

「夏油は呪術規定に則って処刑される。学長はが動揺するかもしれないからと何も知らせずに任務ふっかけてそこで足止めさせてるが…はどうしたい?」

「…呪詛師が処刑対象であることは重々承知してます。私はこのまま任務を続けます」

「…弟に会わなくていいの?」

五条さんが心配してくれるように、処刑が執行されたら私はもう傑に会えなくなるのだ。

傑に会いたいと思っていた。
非術師だった私が傑を苦しめていたことを謝りたいと思っていた。
でも今更そんな謝罪をしても、傑の良心を救うことなど到底できないのだとこの世界を目の当たりにして思い知った。

「既に被害が出てる案件ですから放り出して行けません。それに…呪いを祓い続けることは傑への懺悔でもあるんです」

会えたところで、私には今の傑を止められる強さも救える手立ても持っていない。
だから私は術師として自分ができることをする。

「呪いを祓い続けて術師も非術師も守りたい。それがかつて傑が追い求めてきた理想だと思うから、私がその理想を叶えていきたいんです」

かつて非術師だった私を守ると言ってくれた傑の思いは本物だったと信じたいから。
私は今度こそ傑の良心に寄り添っていきたい。










「傑の処刑は僕が執行する」

傑のことを夏油ではなく傑と呼んで、彼はいつもより低い声で私にその決意を教えてくれた。

「傑は僕の親友なんだ。十年前、歪んだ思想に堕ちて離れていく傑を僕は止められなかった。だから、今度こそ僕が傑を止める」

彼は今でも弟を親友だと思ってくれているのだ。
その親友を手にかけなければならない彼の心境を思うと胸が締め付けられたが、それでも傑を手にかけていいのは親友である彼だけだと思った。


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