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I'll always be with you【アイナナ千】

第1章 妹というポジション




「明日は仕事休みでしょう?」
『そうだよ、千さんは?』
「僕も午後からだから」
『なるほど、だからワインが置いてあるのね』


テーブルの上には、高級そうな赤ワインのボトルが置いてあった。
グラスは私の分も用意されたおり、2つ置いてある。


『あ、でも、車で来ちゃったよ?』
「ん、僕の家に泊まれば良い」
『いや、着替えも何も用意してないし...』
「そこら辺は何とかなるでしょ」

何も問題ないかのようにサラッと泊まればと言う千さん。

『千さん...家に泊まるとか簡単に女の人に言っちゃだめだよ?』
「里那にしか言ってないよ」
『ええっ、』


千さんは冗談は言うけど、嘘はつかない。
冗談だと分かる千さんの声色と表情がある。
今の発言は冗談ではなかった。
つまり本当であるということ。


『え、意外...千さん、今彼女いないんだね』
「僕のことを何だと思ってるんだ」
『いや、今までたくさんの彼女を作って来たでしょ』
「隣に勝手に出てくるだけ」


彼女はそんなお化けみたいには出てこないと思いますけどね。
心の中で悪態をつく。
でも、実際千さんはとてもモテる。
そう言いたくなるぐらい女性が寄ってくる人生だったのだろう。
私は、千さんの元カノという多くの女性に恨まれ妬まれ今まで過ごしてきた。


「まあ、何度も泊まってるんだから、今更気にする事はないでしょ」
そう言うと、慣れた手つきでボトルを開けて、私のグラスへとワインを注いだ。

『いいの?一口飲んだら、帰れって言われても帰らないからね?』
「ふふっ、どうぞ」
『じゃあ、いただきます』


私は流されるように、千さんの家に何度も泊まっている。
だからといって、それはロマンチックなベッドの誘い文句ではなく、単純な宿泊である。
千さんと私は、男女の営みの関係を持ったことは一度もない。

それは私が大神万理の妹だから。
千さんの恋愛対象ではないから。
一夜の過ちにもならない。

千さんにとって妹のような存在なのだ。
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