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愛が禁じられた世界で[dzl]

第20章 老人の正体


「この騒ぎに乗じて貴様も脱獄するつもりか……!」
 看守長は呻きつつ、部屋に入って来た人物を睨んだ。
「もうやめよう、看守長……否、バテロンド看守長よ」
 と言った人物は、あの時ドズルたちを助けてくれたヒゲの生やした年老いた人間だった。
「なんだ、貴様は……!」
 この後に及んでまだ態度を改めない看守長は、老人に対しても喚き散らした。
 しかし老人は一つため息をついて目を伏せ、静かに話し始めた。
「オヌシたちはもはやワシのことも知らんのだろうが……」
 と老人が手を前に出した瞬間、その姿は白と黒のストライプ模様の囚人服から、赤いマントを羽織った豪勢な格好へ変化した。そして、頭に黄金の冠を被っていて、どこか威厳さすら感じた。
「え、何なに、どういうこと……?」
「おじいさん、まるで王様やん」
 ぼんはどういうことだと騒ぎ、おらふくんは冗談っぽくそう言った。一方のドズル、おんりー、MENは冷静を装ってはいた。
 そして、老人はようやく口を開いた。
「そうだ。ワシが、この世界に愛を禁じたかつての王じゃ」
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