第9章 潜入準備
「……これ、本当に大丈夫?」
数時間後、ドズルたちはどこかの建物のそばまでやって来ていた。……変な格好をして。
「急いで用意したから、それっぽいのがこんなのしかなかったんだよ……」
ぼんの言葉に、ドズルは少し困った顔でそう言った。
四人は皆、白と黒のストライプ模様の服を身につけていた。ぼんはそんなに変ではないのだが、ドズルは袖がなく筋肉が剥き出しになっていて、おらふくんは首に赤いマフラーを巻いていて、MENは大きさが足りなくて服の裾からピンクのシャツがはみ出ていた。
「それにおらふくん、マフラーは暑くない?」
この場所は砂漠地帯から少し離れてはいたが、それでもここはサバンナ地帯だ。マフラーを身につける必要はないはず。
「それもそうなんやけど……ほら、首のところがボロボロなんよ」
おらふくんがマフラーを解いて見せてくれた服の襟は、かなり擦り切れてボロボロだった。急いで用意したため、こういう服しかなかったのだろう。
「でも、囚人のフリして潜入するくらいなら丁度いいよね?」
先程落ち込んでいたドズルはどこへ行ったのやら。ケロリとした顔でドズルがすごいことを言い出す。
「……なんだって?」
ぼんが声をひそめて訊ねる。ドズルは表情を変えずにもう一度答えた。
「だから、今からおんりーを助けに、牢獄に潜入するんだよ」
「ええっ……」
ぼんは明らかに嫌そうな顔をした。わざわざ捕まりに行くなんて、と言いたそうだが、ネコおじも少しは同じ意見だった。