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蜩(ヒグラシ)の宿─にの江大江戸人情帳─

第4章 禅寺人斬り騒動編


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お智「…………そうですか、そんな事が…………」



侑李ちゃんを強欲爺さんの所には預けずに連れ帰って来てしまったあたしは

とりあえず、お智ちゃんの元を訪ねた


それから、道場から大倉さんを呼びつけて(笑)恋太郎ちゃんと侑李ちゃんを、蜩の宿へ連れて行ってもらい子守をする様頼むと


あたしは、事の成り行きをお智ちゃんと翔吾さんに話した



お智ちゃんは、強欲爺さんの話を聞くと、今にも泣きそうな顔をして

難しい顔をしてあたしの話を聞いていた翔吾さんに寄りかかった


すると

翔吾さんが悲しそうに自分に寄りかかる可愛い嫁の肩を優しく抱きながら言った



翔吾「……で、侑李ちゃんの身元は、どうなさるおつもりなんですか?

まさか、母親が最後を看取られた禅寺あたりに預けるなんて言いやしないでしょうねぇ?」

にの江「そうは言わないけど……どうするのが、良いのか……」



本当は

自分が引き取って育てると言いたかった


でも

それでは余りにも都合が良すぎる気がして…

…第一、母親に似ていると言うあたしが傍にいたのでは、侑李ちゃんが余計に辛い思いをするのではないか


そんな事を思って、あたしはソレを言い出せないでいたのだ



お智「……翔吾さんさえ、許して下さるなら……うちで、侑李ちゃんを……」

雅吉「そりゃあ、止した方が良いなぁ」



ずっと黙って話を聞いていた雅吉が

お智ちゃんが恐る恐るそう言うのを聞いて口を開いた



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