第11章 エピローグ
その後、気になった私は色々と調べてみた結果、大事にしているものなら人形やよく持ち歩くものにも魂が宿り、それが守護霊になることもあるようだ、ということが分かった。
ゲームキャラクターが守護霊になった人の話なんてどこにも書いてはいなかったけれど、ぼんじゅうるさんやおんりーさんのように優しくて気遣い上手な性格なら、そういうことも本当にあるのかもしれない。
そして、モテる人にはやはり何かしらの生き霊が憑きやすいらしいのだが、中には目に見えない「愛」を込めた光を常に抱いている人物がいて、それを無意識下に自分や周りについた悪霊を浄化するということもあるという話だ。
つまりあの時おらふさんはすれ違いざまに、おんりーさんの生き霊たちを浄化したのだろう。
おらふさんに守護霊がいないのは、おらふさん自身が守護霊のような存在だからだろうか。
とはいえ、白蛇化した守護霊なんて初めて見たんだけど……聞くところによるとメンさんはゲーム内では豚の見た目をしているから本当に繋がりがない。なぜなのか私にもさっぱり分からないのだが、お寺や神社など神聖な場所によく行く人は、その土地の幸運が自分のものになる傾向があるらしい。メンさんがお寺や神社によく行くかどうかは知らないけれど、どこかの動画を見れば何か語っているのだろうか。
「あの、すみません」
「ひっ」
思わず悲鳴を上げてしまった私。そうだった。私今、おんりーさんのパソコンに新しい機材の装着を手伝っていたんだった。
「……何か見えました?」
声を潜め、私にだけ聞こえるようにおんりーさんが訊ねる。見えたというより、常に見えているんだけど、おんりーさんに取り巻く生き霊たちの影には未だ見慣れない。
「あの、今度神社とかに行きません?」
「え?」
「あ、みんなとですよ? えーっとほら、機械祈願!」
私は意味の分からないことを言ってなんとか誤魔化した。おんりーさんはくすくすと笑ってくれたからそれでよしとしよう。
「そうですね」
やはり私は、この会社でメカニック担当をやっていてよかったなと思った。