第10章 知らない女の子と五条くん
「寧々ってさー」
硝子は全く趣味ではないであろう、布面積の少ない赤いセクシーな下着を手に取った。
「五条のこと好きなの?」
「……!」
赤くて露出の多いランジェリーを、闘牛の赤い布に見立ててヒラヒラとさせる。
「五条が寧々のこと好きなのは誰だって知ってるけど。肝心の寧々はどうなのよ?」
「私は…」
以前の私なら……、興味ないってバッサリと切り捨てていた。
でも今は…五条くんを好きだと自覚した今は……
「授業中、五条は寧々のこと見てるけど、寧々は見てないし。水族館で会った時も五条ばっかりはしゃいでたし。任務に乱入もしてくるんでしょ?好きじゃなきゃうざくない?」
第三者から見た私と五条くんは、熱量が違って見える…らしい。
それもそうね。
私は…感情を表面に出さないようにしてるから。
まだその時じゃない、タイミングじゃない、切り札は明かせない…もう、偽りじゃない。
この気持ちは。
私が五条くんを想う気持ちには嘘をつけない。
嘘で塗り固めた関係ではいられない。
分かってる…。