第9章 番外編/濡れてないと…
「ドライアイ気味で乾燥しがちだからコンタクトが入れづらいのよ。涙で潤ってないと痛いしね」
淡々と話す寧々は、濡れてないと痛くて入らないのよ、と付け足した。
点と点が繋がっていく…答えを、たった一つの真実を明らかにしていく。
よくよく考えたらコ◯ンくんは実際高2だからな、まだ高1の俺が間違えるのも無理ないな。
あと俺には空手の強い幼馴染もいないし、どっちかっていうと金田◯の方が合ってたかもしれねぇ。
いや、金田◯も高2だからな、俺もあと1年すれば名探偵になれる…。
バタバタと頭の中を駆け巡る思考は、やっぱり無限か…?
まだ無下限術の内側に囚われ続けてんのか、俺。
「お会計780円です」
レジで合計額を告げる店員の声に意識が引き戻される。
そうだ、俺は寧々にローショ…コンタクトの装着液を買ってやるんだった。
「1万円からで」
寧々が自分の財布から小銭を探している間に、スッと万札を持って割り込んで、強引に会計を押し進める。
「私しか使わないのよ?」
問いかけた寧々に俺はカッコよく言葉を返す。
この時点で俺のミッションは、馬鹿な勘違いをしていたことを帳消しにし、いかにカッコよく奢ってあげるかに切り替わっていた。