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真珠の涙

第8章 1月



呪術師は年中無休。

こんなにお休みをもらえるのは学生のうちだけだと思う。年末の儀式は必ず参加するから、1月1日にお休みをもらえるのは最後かもしれない。そして悟さんは1日に会合があるから、私の儀式にはもう参加できないと思う。

明日からはいつも通りの日常に戻る。ひとつ違うのは、傑さんの心を取り戻さなきゃいけないということ。

帰ったらすぐ、傑さんのところに行こう。こんなに会わなかったのは、高専に入ってから初めてのこと。

会いたいなぁ…

高専に着いて、いつものように2人で部屋に向かう。
悟さんは五条家に荷物を置いてきていたから、片付けるものはほとんどなかったけど、私の荷解きを手伝ってくれた。

悟「このパールの飾り、今度のパーティーの時に付けてよ。ドレスはこっちで用意してるから。」

えっ!?ドレス着るの?

『悟さん、私ドレス着るの初めて!どんなのかなぁ♡』

思わずウキウキすると悟さんが笑っているのがわかる。子どもっぽいと、思われたかな?でも、憧れてたの。

温かい飲み物を入れて、いつもの場所でくつろぐ。悟さんの隣に座るのはいつものこと。違うのは後ろから抱きしめてくれる傑さんがいないこと。

悟「なんか落ち着かねぇな。おい、傑呼んできて」

なんて無茶振り!
こんな状況で呼びにいけるわけない!
ついしょんぼりして悟さんの肩にもたれかかりながら

『やだよぉ…嫌われてたらどうしよ』

背中から腕を回して引き寄せてくれた。頭をポンポンとしてくれ、悟さんの香りに包まれる。2人ともいなくなったら私の心は崩壊するんだろうな。
悟さんがケータイを取り出して電話をしている。傑さんの声が聞こえてきて相手はわかったけど、内容までは聞き取れない。

悟「今どこ?…グラウンド?…へぇ〜、うん風海の部屋…なんでだよ?!…まぁいいわ、了解〜」

電話を切ったあと、ベッドに頭を預けてため息をつく悟さん。

『傑さん、なんだって?』

悟「あ?今グラウンドで口説かれてるって。」

え?…聞き間違いじゃなければ、口説かれてるって言った?誰から?

黒い感情が心の中をモヤモヤと漂う。

『なんでこっちに来るように言わなかったんですか?!もうっ!私ちょっと行ってきます!ここで待っててくださいね!』
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