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《赤井夢》Happiness{R18}

第48章 脆弱







あたたかい……



誰かに手を握られている気がする…




何度も感じたことのある温かな体温で
私の手を優しく包み込むように握る逞しくて大きな手…


そんな人物は私の中で1人しか心当たりがない。





瞑っていた目をゆっくり開けると
素顔の赤井さんが私を見つめていた。




「美緒…大丈夫か?どこか痛む所はないか?」

『はい…大丈夫です。』




どうやら私は
工藤邸のリビングのソファーに横になってたみたいで
学校荒らしの犯人に叩かれた際に出来た
口の端の傷の手当てもされていたし、ナイフで破られた服も着替えさせられていた。



今の状況を頭の中で整理してソファーから体を起こすと
私の手を握ったままでいた赤井さんが私の体を優しく抱き締めた。



「美緒…悪かった…」

『赤井さんは助けに来てくれたじゃないですか…
何も悪くないですよ?』

「今日のことだけではなく…
お前に冷たく当たった事や…ジョディとのこともだ…。」

『っ…』



なんて言っていいのか分からず黙ったままでいると
赤井さんは私から身を離して優しく頭を撫でて来た。


顔を上げて視線を合わせると
私のことを優しい眼差しで見つめていた。



「風呂沸かしておいたから入って来い。
今日はもう休め。」

『え…でも……』



話…してくれないのかな…


ジョディさんとの事は聞くのは怖いけど
ちゃんと赤井さんの口からジョディさんとの過去のことも…

ホテルに入った時のことも説明して欲しかったのに…



話してもらえないことに落ち込んでいると
赤井さんはフッと笑って、私の額にちゅっ、と音を立ててキスをした。



『っ…あ、赤井さん…?』

「話は明日ちゃんとする。だから今日は早く休め。」

『え…でも私、明日も仕事で…』

「お前が寝ている間に
帝丹小学校の教頭が警察に呼ばれて学校に来たんだ。
お前の事をかなり心配していたから
明日は何も気にせず仕事は休めと言っていたぞ。」


…それは大変ありがたい気遣いだけど
本当にいいのかな……?






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