第15章 ダブリスの獣たち
金髪男は、アルフォンスくんの言葉に腹が立ったのか、彼に近づき額の角を掴み、「バラすぞ」と脅してきた。
それは看過できるものじゃない。
銃口を男の頭に向けると、グリードが「落ち着け」と男を宥める。
「やっと見つけた手がかりだぞ。それに嬢ちゃんとも約束してる。勝手にお前が破るな」
今日だけで、グリードと言う男がどういう男なのか少しだけ見えてきた。
己の矜持に忠実な性格であるが、どこか義理堅く人情味が溢れている。
「悪ぃな、嬢ちゃん。とりあえず、それ仕舞ってくれや」
申し訳なさそうに謝るグリードに、私も銃口を下げた。
彼が部下から慕われている理由がよくわかる。
簡単に言ってしまえばカリスマ性がある男だ。
「?」
警戒をしていた私だったが、遠くの方からかすかに聞こえる物音に耳を傾けた。
なんだろう、この物音は。
何かを引き摺って……、いや、壊して……、錬成して、いる……?
なぜだろう。
ものすごく胸がざわつく。
「怖いもの、ひとつあるよ」
冷静な声のアルフォンスくんのせいで、私の中で答え合わせができてしまった。
心強いはずなのに、安心できるはずなのに、身の危険を感じる。
せめて、忠告だけはしておこう。
それなりに彼らに同情してしまうから。
「あの、死にたくなければ、早くここから逃げた方が……」
「もう遅いですよ、さん……。来たよ、怖いもの」
着実に、確実に、その音は近づいて―――とうとう、何もない壁に扉が錬成されてしまった。
ゆっくりと開かれるその扉は、まるで地獄の門だ……。