第2章 ぼんさん目線
「あ、ぼん先生、何してるんですか」
「ドズル先生までそう呼ばないで下さいよ〜」
職員室に戻った俺は、あの子からもらった手紙をすぐに隠してドズル先生に対応した。
ドズルというのももちろん本名ではないが、机の上もポケットの中も、いつもよく分からない物ばかりでいっぱいにしているので、俺たち先生の間で「ドズル」と呼んでいたのだ。
「え、なんでなんで? ぼん先生は愛称なんでしょ?」
知ってか知らずか、ドズル先生は無垢そうな顔でそう言ってきた。俺は頭を抱えた。
「みんな俺のことをからかってるの。生徒からにもバカにされて、俺はもう先生失格だよ、も〜う」
俺がそう言えば、ドズル先生ははっはっはっと笑う。これも冗談だと思っているんだろう。相変わらずこの方はよく笑う。その内にどうでもよくなって、俺も苦笑を返して来週の授業の準備をしようとした。
「それで、ぼん先生……さっき隠したのはなんです?」
「え」
ドズル先生とは、実は幼なじみだ。と言っても年齢差はあるんだけれども、たまたま教師としてこの学校に配属された先に、彼と再会した。
とはいえ、なぜか彼には全てのことを昔から見透かされてしまう。俺がベット下に隠した秘蔵品だって、すぐに見抜かれてビリビリに破いたことは、今でも根は持っている。