第12章 半年経ちました。
「……うん」
『そうか……良かった』
「…………」
何か言いたそうな松岡さん
(…今更なんだって言うんだろう…まさか、まだよりを戻そうなんて言わないよね…?)
「………切るよ」
『ちょっと待ってくれ大野、実は…』
「話すことなんか、何にも無いはずでしょ。二度と連絡しないでって、僕…」
『罪滅ぼしをさせてはくれないか?』
「……え?」
僕は切ろうとした携帯電話を握り直した
『以前にお前が断った、出版社の専属になるって話しなんだけどな
編集長がお前の絵を気に入って、新しく出す雑誌の表紙をお前にデザインして欲しいそうなんだよ』
「えっ…!!////」
雑誌の表紙なんて、そんな大きな仕事…
『だから、詳しい話がしたいんだよ
…今から出れないか?』
「……」
願ってもない話しだけど
松岡さんに会うなんて、翔くんが知ったら…
(…絶対にイヤだよね、そんなの)
僕はやっぱり気が引けてしまって
どうしたら良いか解らずに、また黙り込んだ
『大野、俺はただ……お前に罪滅ぼしがしたいだけなんだ……頼む』
「……」
真剣な松岡さんの声に、心が揺らぐ
(……翔くんに、内緒にしておけば大丈夫かな?)
僕はふうっと一つ息を付いて言った
「………何時ものレストランに、行けば良いの?」