第8章 因果呪縛を解く
夜蛾から星漿体の少女の護衛・抹消任務を言い渡された五条と夏油は少女がいるというホテルに向かっていた。
「星漿体の抹消か……もし星漿体の少女が天元様との同化を拒んだら、悟はどうする?」
「星漿体のガキが同化を拒んだ時ィ!?」
夏油の問いかけに小銭を手の中で遊ばせる五条が少し考える素振りをする。
「……そん時は同化はなし!」
気持ちいいくらいキッパリと言い切る五条に夏油は喉の奥で笑った。
「いいのかい?」
「ああ?」
「天元様と戦うことになるかもしれないよ?」
「ビビってんの?……大丈夫、なんとかなるって」
誰が敵になろうが関係ない。
たとえそれが呪術界の根底を支える存在だとしても、自分達なら負ける気がしない。
「俺達は最強だろ」
2人の瞳にはその自信に満ちていた。
「はぁ?悟がそんなこと言ってたの?五条家当主の問題発言じゃない」
五条悟を護衛すべく出ていた部隊の情報共有を受けた伽那夛は呆れて肩をすくめた。
相変わらず世界は自分を中心に回っていると言わんばかりのわがままっぷり。
でも、これはこれで交渉材料に使えるかもしれない。そういう方向になったら使わせてもらおう。
ほくそ笑んでいると、電話口の護衛部隊からは咎めるような声が上がる。
『オマエも東京にいるなら悟様の護衛に入れ』
「嫌よ。嫌いな奴の護衛なんてお断りだわ」
『高専生のオマエなら悟様の近くで護衛もできる。己のわがままで五条家の当主を潰す気か?』
「そのご当主様のせいでこちらは人生を潰されているのだけど?……そうでなくても悟を護衛できる術師なんていないわ。どんな術師でも足手纏いが関の山、考えなくても分かるでしょう」
『チッ、少し顔が良いからって生意気……』
「悪態の語彙が貧相ね。その言葉は聞き飽きたわ」
相手が言い終わる前に伽那夛は一方的に電話を切った。
いちいち悪態に付き合う気もなければ、そんな暇もない。
伽那夛は九十九との会合場所へ急いだ。