第15章 もう一つの触手の時間
「ただの暗殺は飽きてるでしょ殺せんせー。ここはひとつルールを決めないかい?
リングの外に足が着いたらその場で死刑!! どうかな?」
先生は黙る
「…なんだそりゃ。負けたって誰が守るんだそんなルール」
「…いや、皆の前で決めたルールは…破れば『先生として』の信用が落ちる。殺せんせーには意外と効くんだあの手の縛り」
同じような手を使った赤羽さんは納得したように答えた
「…いいでしょう、受けましょう。ただしイトナ君。観客に危害を与えた場合も負けですよ」
堀部さんがうなづいたのを合図に、シロの号令がかかった
「では合図で始めようか。
暗殺……開始!!」
刹那、先生の触手がザンと切り落とされた。
『な…!』
だが、これは物で切られたものではない。ナイフにしては荒く、銃にしては綺麗なその傷口…
堀部さんを見て理解した。
彼の後ろをうねうねと動く影
「触手!?」
雨の中濡れなかったのも、兄弟だと言ったのも、勝てると言い放ったのもすべて…
そういうことか…!!
「…ど…………こだ」
途切れ途切れしか聞こえない先生の言葉、けど二言目で気づく
「どこでそれを手に入れたァッ!! その触手を!!」
先生の真っ黒な顔
何かに引っかかった!
「君に言う義理はないね、殺せんせー。だがこれで納得したろう。両親も違う、育ちも違う。だが…この子と君は兄弟だ
しかし怖い顔をするねぇ。何か…嫌な事でも思い出したかい?」
事情は知らないけど分かる、こいつが先生と堀部さんの何等かの首謀者…!
「…どうやら、あなたにも話を聞かなきゃいけないようだ」
「聞けないよ、死ぬからね」
シロが片手を上げたと思えば、垂れた服の裾からカッと光が放たれる
途端、先生の動きがおかしい。どこかぎこちないような…
「この圧力光線を至近距離で照射すると、君の細胞はダイラタント挙動を起こし、一瞬全身が硬直する。
全部知ってるんだよ。君の弱点は全部ね」
そのまま親指を下に向けるのを合図に
「死ね、兄さん」
堀部さんが先生を襲う
彼は目にもとまらぬ速さで触手を繰り出す。
「うっ…うおおっ…」
「殺ったか!?」
「…いや、上だ」
先生は蛍光灯の上でギリギリ回避していた