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山鳥と雛鳥

第19章 彼が来た理由


雛鳥から今川焼きを貰い巣に戻って食べていたら慣れない甘さに驚いた。

「これは?」

「うわぁ〜チョコの匂いだ!」

乱が匂いにつられたのかやってきた。

「ちょこ?」

「うん、そっか今日はバレンタインだからかな?
女の子が好きな男の子にチョコをあげる日なんだよ。」

「好きな男に?」

「山鳥毛さん、それ貰ったの?
買ったの?」

「知り合いに貰ったんだ。」

「好かれてるね〜。いいなぁ…」

私はまさかと思って現世に行こうと立ち上がった。
本当に、私のことをそういう意味で好いていたのか?
私はどうしても確かめたくなってしまった。

断ってしまったが…想われてると知ると胸が騒ぎ出す。

「山鳥毛、話がある。」

小鳥に呼び止められ立ち止まる。

「小鳥…。」

「………会いに行くのか?」

「知っていたのか!?」

小鳥は鼻で笑った。

「はん、薬研との会話を聞いていたんだよ。
あぁ、勘違いはするな?あいつは喋ってねぇ。
俺がたまたま聞いただけだ…それに…」

小鳥は1回俯いたが顔を上げてフッと困ったように笑う。

「お前と何年いると思ってんだよ。」

その言葉に私は全て察した。
その場に座り、頭を垂れる。

「小鳥…申し訳ない。」

「だろうな…だから言っただろ?
分かってんなら…歯ぁ食いしばれ…。
俺に隠れてアイツに会ってたんだからな…!」

小鳥の声は低く静かだった。
分かっている。
私は小鳥を裏切っていた。
刀解も覚悟をする。

小鳥の判断を私は待った。


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