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山鳥と雛鳥

第18章 懐かしさ


あぁ…この匂い。
まただ。懐かしい…。

謎の脱力感と眠気に優しい匂いと揺れに私はいつの間にか眠っていた。


『……ちょうも…のせなか、パパみたいに大きい。
温かくて。』

初めて見る夢。

初めて見るはずなのになんでこんなに知っているのか。

温かい。
ずっとこのまま彼の背中にいたかったような気がする。






目を覚ますと茶屋の座敷に寝ていた。
夜中なのか?

辺りを見回すと、ちょもさんが離れたところでうたた寝(?)していた。

「あぁ、起きたのかい?」

店主の声がして私は振り返った。

「あ、えと…私…」

ズキンと頭に痛みが走る。

「常連さんが、あんたを連れてきてくれたんだ。
家の場所は知らないからとここにね。
ほんとなら断るべきだったんだろうけど、事情がありそうだったから断れなかったよ。
飴湯、飲めるかい?」

私は店主さんから飴湯を受けとり1口飲んだ。

温かくてしょうがが利いた少し甘い飲み物。

「あったかい…。」

店主さんはニコリと笑ってから厨房の奥へと言ってしまった。

私はチラリとちょもさんを見た。

こういう時でもサングラスをかけたまんまなんだね。
でも何となくかけたまま寝るのは良くないと思って、そっと外しに行く。

………。


怖い印象が強い彼だったけど寝顔は青年みたいに幼く、優しい顔してると改めて思う。

とてもかっこいい…。

目鼻立ちも整っていて眉毛はキリッとしている。
目の下の模様は何か意味があるのかな?

じっと見ていると…山?
何かの剣?

人の顔をそんなまじまじ見るものじゃない。

パッと彼の目が開いた。
バッチリ目が合う。

………!?

目が赤い!?

「雛鳥…?目が覚め…」

クイッとサングラスを直す動きをしたがサングラスがないことに気づきキョロキョロとした。

「サングラスなら寝てる時落ちたりしちゃうと思ったので…そこに。」

ちょもさんは私を驚いた顔で見た。

「顔を見たのか…?」

ちょもさんが驚いているのと同じく私も驚いていた。
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