第16章 夢の中の彼と香りの記憶
ぽかんとしているとちょもさんがどうかしたのか?と顔を覗いた。
「あ…え…えと。」
私はきっとマヌケな顔をしていただろう…。
そしてマヌケな質問をする。
「ちょもさんて香水とか付けるんですか?」
「…ん?どうしたんだい?いきなり。」
「なんか、いい匂いして…なんていうか…懐かしい…気がする…」
明らか香水みたいな匂いでは無いのになんで、私はこんな馬鹿な質問をしたんだろう。
「あぁ……まぁ嗜みの1つかな」
ちょもさんの喋り方で分かった。
困ってる。
これは明らかに困らせてる…。
「変なこと聞いてごめんなさい。
あのそれじゃあそろそろ帰りますね。」
私はそそくさと逃げるように店を飛び出した。
心臓がやけにうるさい
胸もキュッとなっている
なんで?
あの香り、どこで?
でもどこかで嗅いだことがある気がした
ぐるぐる目まぐるしく回る思考回路から逃げたくて、私は家路を急いだ。