第16章 夢の中の彼と香りの記憶
温かい日差しの中。
男の子たちが走ったりしている。
私も一緒に走って笑っている。
遠くで青年が「おやつだよ」と私たちに声をかけた。
でも顔が分からない…
「あぁ、ここにいたのか」
いつも一緒にいる人の中で一際、落ち着きがある男の人の声がした。
「あ!⚫⚫⚫!」
誰だろう?私はその人の名前を叫んでいるけど分からない…。
「お顔みーせて!ねぇ、抱っこ!」
小さな私は彼に笑った。
幸せそうに、何となくこの幸福感を知っている気がした。彼が笑った気がしてしゃがみ私の体をしっかりと抱き上げる。
顔が見えるようになったかと思ったら、目が覚めた。