第15章 再び相見える
かの、任務から半年ほどした頃。
小鳥は現世での仕事を、怪我を理由に辞職した。
歩くのがやっとの小鳥について行く。
待っている間は好きにしていいと言われたので、甘味のある茶屋に入ることにした。
「いらっしゃい。持ち帰りかい?
それとも茶屋かい?」
「ふむ…茶屋を利用したいのだが席は空いているかい?」
「あぁ、それじゃあそっちの奥の座敷にどうぞ。」
年老いた店主に案内され私はそこに座った。
「さて、なにをいただこう…?」
品書きを眺めながら考えているとまた扉の開く音がした。
「遅れました!ごめんなさい!」
「あぁ、大丈夫だよ。」
その会話に声を私は信じられなかった。
「……雛鳥?」
顔はまだ見えぬが微かに記憶がある。
あぁ、懐かしい。
だが、声の記憶というのは一番最初に曖昧になっていくもの。
あれから5年ほど過ぎている。似ているだけかもしれないとさえ私は考えた。
「ほら、早く着替えておいで」
「はい。」
会話が終わったところで、私は店主を呼んだ。
「はいはい、注文ですか?」
「あぁ、このあんみつと抹茶をいただきたい。」
「はいよ。」
物腰の柔らかそうな店主だという印象だ。