• テキストサイズ

乙女ゲームの一生徒に転生した私は穏やかに暮らしたい

第4章 仮入部期間は張り切るべき時


……いや、いくら何でも静かすぎない? 言わない方が良かったとか!?

「まあ私一年生ですけどっ、やれる事ならやるつもりなので、えっと……あの──ぶへっ!?」

必死に喋っていると突然さやか先輩に抱きつかれ、変な声が出てしまった。

「ありがとうー! 優しいねぇ理沙ちゃん!」

耳元で叫ばれて耳がキーンとなる中、もう私の名前を覚えたのか、なんて割と冷静な考えが頭をよぎる。

……まあ、さやか先輩がきっかけを作ってくれたお陰で、部室の空気は和やかなものになってくれたようで。部室からぽつりぽつりと、自分も手伝う、頑張ります、なんて声が聞こえてきて、私は皆同じ気持ちなんだと心があたたまった。



この日は発声練習などを先輩達と行い、五時に解散となった。

「雪乃くん」

帰ろうとドアノブに手をかけたところで話しかけられた。
振り返ると、そこには部長がいる。

部長は私を真っ直ぐに見つめ、
「手伝うと言ってくれて、頼もしかった。ありがとう」
と言った。

部長にお礼言われた!? しかも名指しで!

「え、……ありがとうございます?」

お礼を言われたのは私だというのに、何故か私もお礼をし返してしまった。こういうの言われ慣れてないから……。

「僕は……少し気負いすぎていたのかもしれないな。部員達と共に頑張るとするよ」

笑みを浮かべる部長は、どこか吹っ切れたように見えて、私は思わず見惚れてしまうのだった。


さぁ、新入生をドカッと入れられるのは仮入部期間だから、ここで頑張らないとね!
/ 29ページ  
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:なごんだエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白い
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp