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乙女ゲームの一生徒に転生した私は穏やかに暮らしたい

第4章 仮入部期間は張り切るべき時


放送室の隣に謎の扉があるなぁとは思っていたが、まさかその扉の先が放送部の部室だったとは。
スムーズに校内放送に移れるようにしているのだろうか?

……よし、入ろう。

私はドアノブに手をかけ、部室の扉を開いた。


「来たっ新入生!」

こんにちは、と、言おうとしたが、弾んだ声に遮られた。

「ようこそ放送部へ! 待ってたよー!」

こちらに駆け寄ってきたその人は、私の両肩を掴み前後に揺らしてくる。視界が揺れる……。
あれ? この人、何か見た事ある気が──。

答えが喉元まで出かかった時、
「あっ君、あの時の子!?」
私はまたもや声に遮られた。今回は私は声を出そうとしてはいないけども。

顔を見なくても分かる。今喋っていたのは、敬人さんだ。

声のした方を見遣ると、やはり声の主は敬人さんだった。

何も言わない私が、彼の事を覚えていないとでも考えたのか、彼は、
「ほらほら、君が俺の教科書を拾ってきてくれたんだよ、……えっと」
と、自分が何者なのかの説明をし始めた。
推しと会話したんだし、私はばっちり覚えてますよ!

言葉が最後まで続かなかったのは、私の名前を呼ぼうとして、しかし名前を知らない事に気がついたからだろうか。

取りあえず名乗っておこう。この事がなくとも、私は仮入部希望なのだから自己紹介くらいはしなければいけない。
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