第6章 ※ 再びあなたに逢えたなら
お父さんに、不死川さんが庭にいると聞いて、ひなたは急いで庭へと駆けつけた。
「不死川さん」
「ひなた」
いつものように家の中には入って来ずに、少し離れた石の橋の所に立っている。
不死川の元へと駆け寄った。
「どうしたの? 不死川さ…! 」
言いかけたところで、不死川に腕を引かれて抱きしめられていた。
「…悪かった。お前の事、分かってやれなくて」
日曜日なので学校はお休みだけど、家の中にはひなたの両親と輝利哉がいる。家の中から見えるかもしれないのに…。
ひなたを力強く抱きしめている不死川は、その事を気にする様子もなく、腕の中のひなたを離さないようにぎゅっと抱いたままだ。
「不死川さん…お父さん達が…いるよ」
「分かってる…。でもお前のこと離したくない」
ひなたの身体から力が抜けていく。さっきは、とっても寂しかった。
「俺、お前ときちんと話したい。このまま離れてしまうのは嫌だから」
「…うん…」
「本当か? 」
「私も。寂しかったんだよ」
不死川はひなたから身体を離すと顔を覗き込む。ひなたの両頬を包む不死川の温かい手のひら。不死川はひなたの目を真剣な様子で見つめている。
「お互いに意見が食い違った時は、話をしような? 」
「うん。でも、分かり合えなかったら? 」
「俺がお前を理解するから。ひなたも俺に分かるように教えてくれよ」
普段はクールな不死川が、ひなたの為に自分を曲げようとしている。それは、歳上の彼の持つ優しさだろう。しかし、それ以上に、不死川がひなたを失いたくないと思っているのを感じた。
二人で並んで歩きながら、目が合うと照れくさいから、時々目を合わせる。
目が合う度に、二人共、恥ずかしそうに笑った。
歩きながら白梅のある池の側まで来ていた。