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我が先達の航海士

第3章 真の風


七海龍水には前々から派手な噂があった。億単位のお小遣い。証券取引をしてお金を膨らませ、レーシング場を作ったり豪遊する欲しがり屋。七海財閥が噂を揉み消したが、外部のを巻き込むとなると抑えきれなかった。龍水はぶっ飛び過ぎて南からすれば殺意だが、お相手のはかなりマトモに見える。

横から紙が記者の人数分手渡される。ご令嬢の自らやっているのには流石に南も目を丸くした。端の記者が纏めて受け取り、一枚ずつ記者達がプリントを取っていく。南もひとつ取り横にまわした。

【七海財閥、グループ提携】と銘打ったそれには帆船のエコ性を利用した共同事業展開などが書かれていた。記者会見の流れはまず資料配布。その後書かれた内容と被らない様に口頭説明と質疑応答だ。

「では私、の方より説明させて頂きます」
が概要を説明する。帆船の原理を使った二酸化炭素等GHGの削減。日本から北米への航海では8%減らせるらしい。中身のある説明に、安心感が記者の間を駆け巡る。が兄へ説明のバトンタッチをした。

が先程発表した【ウィンドチャレンジ計画】についてより深く説明。七海財閥の投資もある共同事業だという。公式発表の為、この辺は事実だろう。今回の帆船航海についてがパワーポイントで説明。肝心の切っ掛け部分を濁したのは、本当に龍水がを気に入っただけだからだろう。質疑応答で案の定、他の記者から質問が出た。

「帆船航海が切っ掛けで提携事業を組まれるとの事でしたが、お二人が組まれた機会は何でしょうか」
「貴様、良くぞ聞いてくれた!5年前のセイル・トレーニングで俺がと帆船に惚れたからだ!!」
ぼ、ボロがーーーー!!と青ざめると兄。龍水はセイル・トレーニング時は7歳。権力ゴリゴリ少年に惚れられ、帆船航海のお供と婚約させられる。南が虚無の顔をしつつ手を挙げた。
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