第10章 実行
その日の夜。
「あ、実音悪ィな呼び出して持ってきたか?」
『おう。練習の事でメモしてきてほしいって言っていたもんな。はい』
と、実音は振り向いて後ろにいた玲王にメモを渡そうとしたが…………
「こんな小さいメモ用事じゃよく見えねーな。んーと…………」
『お、おい御影くん………?』
玲王は後ろから実音に体を密着して実音の後ろからメモ用事を覗き込む。
『近くね………?』
「近くねぇーよ」
正直、自分でも近いと思っている。すぐそこにはゲームに集中している凪がいる。だが!その凪はこの状況に気が付いていない!
今の所気付く様子はないな………
もし気が付いたとしてここで凪がどう反応するか……………睨む?離れてと言う?よしもう少し……………
「まだ見えないぞ?」
『いや、絶対に見えているだろ…………』
近いというかもうすでに密着しているこの2人。簡単に言うと玲王が実音を後ろからハグしている状態なのだ。
近い近い!今女子を後ろからハグしてる状態だからな!本人は他の女子よりも筋肉あるって言っていたけど密着してみると………そんなに………思ったよりも華奢………って俺は何を考えている!!んーと凪はまだ気付いてないのか!!ゲーム集中しすぎだろ!?
『見えているだろ?離れてくれねーか?てか、めっちゃくっついてないか?』
「あーもう見えている。離してあげるからそのかわり…………」
『?』
「あ、ゲームオーバー………。このステージ、ムズすぎ………………!?!?!?」
うっかりスマホを落としそうになる凪。
実音と玲王近すぎじゃない?というか玲王が実音の事後ろから抱きしめてない………?なんで………どうして…………なんだか嫌だな…………胸が痛い…………
「前々から思っていたんだけどその御影くん呼びって堅苦しいからこれから玲王って呼ぶなら離してあげてもいいんだけどな?」
『耳元で話さないでくれっ!くすぐったいから!っ〜〜玲王くん!!あーもーこれでいいだろ!!近いから離れろぉ!!』