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綾なす愛色【鬼滅の刃】

第2章 優しい約束、哀しい約束





一瞬の出来事に、理解するまでに時間がかかった
宇髄も今日ここへ来ることになるっているのだから
薫さんの屋敷に宇髄がいることは何らおかしな事ではない
それでも、感じたことのない焦げたような小さな痛みを心に感じた

ここで…
宇髄と薫さんとで、何か特別な時間を過ごしたのだろうか?
いや、そんな筈はない
しかし…ならばなぜ宇髄が戸を開けたのだろうか
薫さんはどうした?
出てこられない状況なのか?

だめだ、押し寄せてくるのは嫌な考えばかりだ
薫さんは友人だ
宇髄と何かあったとしてもよいではないか
この男は信頼のできる男だ

「おう!煉獄。時間ぴったりじゃねぇか」

俺の無粋な考えを吹き飛ばすかのような宇髄の笑顔
つられて頬が緩んだ
この男は、憎めない男だ

しかし…
ぴったりか
俺は少し早く到着すればよかったと後悔した
白い歯を見せて笑った宇髄の中に焦りを見たからだ

「宇髄!君は早かったのだな!薫さんは支度中か?」

宇髄越しに中の様子を伺うが、彼女の姿は見えない

「あぁ。もうすぐ終わるんじゃねぇか?」

俺の問いに答えた宇髄は、俺の視線に素早く反応した

「なんだよ?」

「うむ…少し顔色が悪いようだが?腹の具合でも悪いのか?」

カマを掛けるなど、俺らしくない
真っ直ぐに訊けばよいものを…
”薫さんと何かあったのか?”
その一言が喉につっかえて出てこない

「あー…そんなとこだな。厠でも行ってくるわ。上がって待ってりゃ薫もそのうち来るだろ」

宇髄は俺から視線を外し、厠の方へ行ってしまった
廊下の奥に位置する部屋からは、相変わらず薫さんの気配がする
宇髄に言われた通り、上がらせて貰い薫さんを待とう
玄関から一歩中へ足を踏み入れれば薫さんの香りが濃くなったような気がした

それでも若い女性がひとりで暮らすにしては簡素で、どこか淋しい雰囲気だ
ただ一つ、この庭を除いては

庭には大切に手入れされている花々が生き生きと咲いている
縁側に腰を下ろせば、時間を忘れるくらい見入ってしまっていた
風に揺れる花達は、様々な顔を見せてくれる
薫さんの喜怒哀楽を見ているようだ

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