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綾なす愛色【鬼滅の刃】

第1章 私は私で私じゃない





「傘もってきてよかった」

手に取ったお気に入りの傘を持ち上げ、夜空に見上げる
どこまでも続く漆黒の空
溶けてしまいたい
空に吸い込まれるように手を伸ばそうとすると
つむじにぽつんと冷たい雫を感じた

あ…やっぱり、雨

いっきに現実に引き戻されると霞みがかった月は視界から消えて
代わりに白い布が目の前に広がった

「女性の夜の独り歩きは危険だ。屋敷まで送ろう」

咄嗟に着物の合わせを閉じた
そして声のする方を見上げると、夜に似つかわしくない太陽のような人
肩に掛けた羽織で雨に濡れないよう屋根を作ってくれていた

「太陽…?」

「ん?俺は煉獄杏寿郎だ!」

「あっ、ごめんなさい。傘あるので」

傘を持ち上げて見せると、煉獄さんと言う人はにっこり笑う

…可愛い顔して笑うのね

「うむ。雨はしのげるが、鬼はその傘ではどうにもできまい。」

鬼…?何を言っているの?
それが顔に出てしまっていのだろう
煉獄さんは、笑顔からきょとんとした顔に変えて私を見ている

「おい、煉獄。急に鬼だっつったって驚くだろうが。なぁ?」

今度は誰?
こんな夜に人から声をかけられたのは始めてだと言うのに
また1人、後ろから声がする

混乱する頭で振り向けば、もっと混乱することになった
だってそこにいたのは煉獄さんより背が高く、見た目も派手で何より色男

「おぅおぅ、こりゃまたべっぴんさんじゃねぇ。あぶねぇよ、こんな夜更けに。変な輩がいるからなぁ。」

月明かりに反射する額から下げた宝石が綺麗だ

「宇髄!この女性を送り届けたい。少し寄り道にはなるがよいか?」

「構わねぇよ。」

「うむ!では行こう!お嬢さん、屋敷はどちらだ?」

「すぐそこなので、1人で帰れます。」

「それはだめだ!1人でいるところを見かけた以上、どんなに近くとも送り届けなければならない!」

「鬼が出るから?」

鬼と言うのが、本当に鬼なのか
はたまた人の道から外れたことをする人への比喩なのかはわからない
でも、物騒な物を腰に下げているし
この人達も、夜に活動しなければならないのだろうことはわかる

「そうだ!鬼は人を喰う。特に若い女性は鬼の好物だ」

「煉獄、お前さ直球すぎんのよ。そんなこと言ったってわかんねぇよ。」

宇髄さんと呼ばれた人は、呆れたように煉獄さんを見つめている
でも、仲いいんだろうな

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