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私と彼と排球部。*short story*

第12章 *夏祭り 【及川徹】


そうこうしているうちに、花火が上がった。

「うわぁーキレイ!!」

私がついつい花火に夢中になっていると


「優希ちゃん。」

不意に名前を呼ばれ、彼の方を向くと


突然彼のキスが降ってきた。

「お、おおお及川君!?!?」

いきなり過ぎてびっくりしてしまった

「あんまり花火に夢中で及川さんをほったらかしにしたからだよ。」

彼はムスッとして拗ねたようにそう言った。


「…及川君、もしかして花火にヤキモチ妬いたの?」

そうだとしたら、すっごく可愛いな。


「…そうだよ。わ、悪い!?」

「いいえー。」

ホント、及川君と一緒にいると飽きないなー。




この時間がもっと続けばいいのに。

なんて思っていても、時は止まってくれず、あっという間に帰る時間になってしまった。


「暗いし、家まで送っていくよ」

そう言ってくれるけれど、彼の家は私と正反対の方向にある。

「ありがとう。でも大丈夫だよ。家の方向違うし…」

「そんなの気にしなくていいの!それに、俺が優希ちゃんとまだ一緒に居たいだけだから」

そう言って半ば強制的に私は及川君によって家まで送り届けられた。


「じゃあ、またね。」

そう言って帰ろうと踵を返す及川君に、何故か寂しさを感じた。

考えるよりも先に、私は及川君の服の裾を掴んでいた。

「…優希ちゃん?」

「ご、ごめん!!」

私は咄嗟に手を離す。

私、何やってるんだろ…。

すると、及川君は笑いながら私の頭を撫でた。

「もー、寂しいなら寂しいって言ってくれればいいのに。」

次の瞬間、私は彼の匂いに包まれた。

「ホント、可愛いことするんだから。俺、抑え効かなくなっちゃうよ?」


「なんて、今はまだ、何もしないよ。…“今はまだ”ね。」

そう言って彼は意味ありげに笑った。

「じゃあまた明日。おやすみー」

「お、おやすみ…」

そう言って、別れたものの、私の頭の中は彼のことでいっぱいだった。


…あなたはどれだけ私を溺れさせれば気がすむんですか。


なんて、それは彼にはまだ内緒だよ。


*夏祭り*
君との1年に1度の思い出。
一瞬一瞬がとても大切なんだ。
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