第1章 お前さえ居なければ
「お前さえ居なければ!!!!」
「由香子が死ぬことなんてなかった!!!!」
―お前のせいで―――
―由香子は死んだ―――。
父が言っていることはあながち間違っていないのかもしれない。
確かに私が居なければ母…水瀬由香子が
公園で遊んだ帰り、小さかった私を庇い、トラックに撥ねられて
死ぬことなんてなかった。
だからこそ反論できない
浴びせられる言葉がどんなに理不尽なものでも
我慢しないといけない
どれだけ愛されたいと思っても
そんな願望を絶対に口に出してはいけない
私に、愛される権利なんてない
だって母は、私のせいで死んだのだから―――。