第8章 星漿体①
「。」
『んー?』
「大丈夫かい?」
『うん。今んとこ特に異常はないし、怪しい気配もないから、』
「そうじゃなくて。」
『ーーーえ?』
顔を上げると、至近距離で傑と目が合った。
「辛く、ないかい?」
傑は、優しい…。
いつも私の心配をしてくれる。
私が傷つかないように見守ってくれている。
だから少しだけ弱音を吐いても良いような気がしてきて…。
『・・・何かさ、理子ちゃんがあまりに普通の中学生だった。
友達と楽しそうにおしゃべりして、授業も真面目に受けて。
何で理子ちゃんなのかなんだろう、運命って残酷だなって…。』
フェンスに背を預け、俯きながらポツポツと話した。
「ーーーその気になれば運命なんて変えられるさ。」
『・・・え?』
突然傑がフェンスに両腕を突き、私を腕の中に閉じ込めた。
「運命を受け入れるか受け入れないか、それは本人次第だよ。」
顔が近づき、切長の瞳が私を映す。
『・・・それって理子ちゃんが同化を拒否出来る道もあるって事…?』
「どうかな…。それは彼女自身が決める事だからね?
私達が今出来る事は彼女の命を守る事だけだよ。」
何だかうまくはぐらかされた気がするのは気のせい、だろうか。
『・・・そう、だね…。うん、それは分かったんだけど、、、
顔、近くない⁇』
今にも鼻の先が触れそうな距離に心臓が音を立てる。
「フッ、そうかな?
のコスプレが可愛いくてつい。」
『こっ、コスプレじゃなくて変装ね⁈
エッチな言い方しないで、っ⁈⁈』
チュッ
と軽いキスをされ思わず目を見開いた…のは少し離れた場所にいた理子ちゃん。