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999本の薔薇〈進撃の巨人〉

第8章 Rose



「ロールケーキ」


 リヴァイはショーケースに並んだものたちを眺めていた。
 これが商人が地上から持ってきたという甘いものだ。実物はもちろん初めて見た。少し高いが買えないほどではない。

 しかし……


「なんだこれ」


 何か不思議な生地に白いクリームが巻かれている。
 どんな食感なのか全く想像できない。ポカンと口を開けていると、商人が微笑ましそうに笑った。


「ロールケーキを見るのは初めてかい? ま、味は保証するよ」

「じゃあ、これを二つ」

「まいどあり」


 商人は弾んだ声で言って、二つのロールケーキを手際よく紙に包んでいく。どうぞ、と手渡され、それを受け取ると想像よりも軽かった。
 ローズの喜んでくれる顔が浮かび、リヴァイは知らず知らずのうちに表情を綻ばせていた。

 大事に抱え、早足で家に帰る。
 このために紅茶も用意した。ティーカップも用意した。
 

「ローズ」


 自然と名前が口からこぼれる。
 息が弾む。
 早く会いたい。ローズに。


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