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999本の薔薇〈進撃の巨人〉

第3章 Sun flower



 ぎょっとしたようにリヴァイは立ち上がり、「ローズ」と名前を呼んだ。


「わ、悪い。まさか泣くほど悩んでたって思わなくて」

「ううん、ううん、違うの。あたしこそ急に怒鳴ってごめんね」


 ここにいるだけでいいと思われていたなんて、考えもしなかった。
 突然押しかけたローズを鬱陶しく思っていないのだとわかって、安心したのだ。


「リヴァイにそう言ってもらえてよかった。うれしい」


 にこりと笑う。こんなにも自然に笑顔が溢れたのは初めてで、少しこわばってしまったかもしれない。だが、リヴァイも恥ずかしそうに笑い返してくれた。


「でも、リヴァイ。あたし、やっぱり働きたい。ちゃんと目に見える形で恩返しがしたい」


 ローズは決意を固めてもう一度言った。
 これからのことを思うと、お金は貯めておかなければならないからだ。

 リヴァイはゆっくりと椅子に座る。


「お願い、リヴァイ。危ないことはしないし、何かあったらすぐ助けを求めるから」


 だから、お願い。

「……わかった」


 腕を組み、たっぷり悩んだ後リヴァイは渋々頷いた。
 パァッと顔を明るくし、思わずその場に立ち上がる。


「ほんと!?」

「あぁ。ただし」


 途端に浮かれるローズに釘を刺すように、リヴァイは声を張り上げた。


「仕事が終わったら迎えに行く。いいな?」

「こ、」

「あ?」

「ナンデモアリマセン」


 子どもじゃないんだから、という言葉は寸前で飲み込んだ。


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