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999本の薔薇〈進撃の巨人〉

第1章 Forget me not



 母が死んだ。
 淡いブルーをまとい、美しく死んだ。


「……不気味だ」

「人じゃない」


 母の死に顔はあまりにも穏やかなものだった。
 冷たくなった生気のない手を握り、涙を流す。だが、ローズを囲う人々は口々に母を罵った。


「この娘も同じじゃないのか?」

「きっとそうだ」

「私たちに厄災をもたらすに違いない」


 そしてそれはローズに向く。
 冷えた目がローズに刺さる。恐ろしい言葉を口にしながら、彼らはローズに手を伸ばした。


「殺せ」

「殺すぞ」

「母親の死体も燃やせ」


 母の手を握った腕を掴まれる。
 無理やり引っ張られ、母から引き剥がされる。
 拒絶の悲鳴を上げるがだれも聞く耳を持たない。


「お母さんっっ!!」


 瞬く間に母が彼らに囲まれた。1人が鉈を振り上げた。
 ローズの目の前で母は血飛沫を散らす。

 あれだけ美しかったブルーが赤に染まった。


「あぁッ……!」


 涙が溢れた。

 母を失った悲しみに。母を救えなかった怒りに。
 ローズは涙を流し続けた。


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